オンライン相談システム導入で窓口業務のDXを

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リモートでの受付対応が進む中、DXを活用した「オンライン相談システム」の導入が注目を集めています。特に、企業の受付業務では対面対応だけでなく、相談ニーズに応じた柔軟なオンライン相談が求められており、こうしたシステムが業務効率を大幅に向上させることが期待されています。

DXの一環として導入される「オンライン相談システム」は、遠隔地からの相談にも対応可能であり、時間や場所に制約されない便利さを提供します。今後、こうしたDXを推進するシステムによって、企業や公共機関での相談業務が一層スムーズに進むことでしょう。

未だに窓口に行かないと手続きができない?

コロナ禍以降、さまざまな手続きを窓口相談業務からオンラインに移行する自治体が増えてきています。PCを使ったオンライン申請や、LINEやフォームを使った予約システムの導入など、自宅に居ながら手続きが進められるようになってきました。

PCやスマホから文字を入力したり選択肢をタップしたりして申請手続きができるようになった、ということは確かに大きな一歩です。しかしITリテラシーの高い人たちにとっては便利なシステムも、使い慣れないご高齢の方にはまだまだハードルの高い仕組みだという声も聞かれます。オンラインでの手続きが難しい場合は、郵送・(大変だけど)窓口まで出向く・役所の担当者が戸別に訪問して対応する、などの対応でカバーするのが実情のようです。

窓口のDX化、オンライン相談システムとは

この問題を解決に導くのが「オンライン相談システム」です。
オンライン相談システムとは、リモート接客・テレビ窓口といった呼ばれ方もしますが、エンドユーザー側から、画面越しにビデオ通話先のオペレータを簡単に呼び出して、音声と映像を通して相談のできる仕組みを指します。

双方向・リアルタイムで映像と音声をやりとりでき、お互いの姿だけではなく資料なども映し出すことができるため、その場で書類の書き方などをオンライン相談の窓口担当者に聞きながら、手続きを進めることができます。

画面越しのコミュニケーションという意味ではZoomなどのweb会議システムと同じですが、最も大きな違いはオンライン相談システムの操作の簡単さにあります。

web会議システムを使ったコミュニケーションでは、アプリのダウンロードやシステムへのサインイン、予約した会議室への接続等の操作が難しく、利用を敬遠するご高齢の方もいらっしゃると思います。しかし、ボタンを押すだけ等のワンアクションで担当者につながるオンライン相談システムは、どなたにも気軽に使える便利なツールとなり得るでしょう。

実現可能なDX推進のステップ

2024年問題が目前に迫り、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組む必要性を感じています。2024年問題とは、主に日本におけるITシステムの維持・管理に関する課題を指し、特に古い基幹システムの老朽化や技術者の高齢化、IT人材不足によって引き起こされる業務停滞のリスクが高まることが懸念されています。こうした問題に対処するためには、DXの推進が不可欠です。

まず最初のステップとして、業務プロセスの現状分析が重要です。企業ごとの業務フローを可視化し、どのプロセスがデジタル化によって効率化されるかを見極めることで、DXの具体的な方向性を明確にします。次に、優先度の高い領域から段階的にデジタルツールを導入し、業務全体への影響を最小限に抑えつつ効果を測定します。この段階的なアプローチにより、現場の混乱を避けながら、DXの進展を実感することが可能です。

さらに、IT人材の育成や外部パートナーとの連携も欠かせません。DXには専門的な知識が必要ですが、既存の社員だけでこれを実現するのは難しいケースが多いため、新たな人材育成プログラムや研修の実施が効果的です。最後に、DX推進を中長期的なプロジェクトとして位置づけ、適切な予算とリソースの配分を行うことで、2024年問題への備えを強化することができます。

このように、現状分析から人材育成、段階的導入までのステップを踏むことで、2024年問題に対応する持続可能なDXの推進が可能になります。

自治体での導入事例

自治体のDX化は2024年問題対策として重要な役割を果たしています。

熊本県美里町役場は、少子高齢化や人口減少といった「2040年問題」に対応するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。具体的には、庁舎間の業務分散による住民の負担を軽減するため、リモート窓口システム「テレ窓」を導入しました。これにより、住民はどちらの庁舎でも必要な手続きを行えるようになり、利便性が向上しています。
また、簡単な操作性により、高齢者を含むすべての住民が利用しやすい環境を整えています。この取り組みは、行政サービスの効率化と住民サービスの質の向上に寄与しています。

自治体2040年問題に対する美里町役場様のDX推進の取り組み

オンライン相談システム導入のメリット

顔の見える安心感

オンライン相談システムは、ビデオ通話を基本とする窓口応対のため、担当者の顔を見ながら相談をすることができます。電話や郵送対応では分からない相手の表情が見えるため、通常の窓口対応と同じように、互いに会話で聞きたいこと・説明したいことを伝え、齟齬のないことが確認できる安心感がオンライン相談システムにはあります。

業務の効率化・サービスの質の向上

オンライン相談システムを自治体の窓口業務に導入した場合、担当職員の専門性に合わせて問い合わせ先を集約し、案内の効率化を計ったり業務の専門性を高めたりすることが可能です。

例えば、

  • 自治体の窓口相談や受付業務
  • 税務相談窓口相談
  • 外国人向け通訳サービス

などです。

これらは専門性や個別の対応が必要とされることの多い業務ですが、オンライン相談システムを活用し、担当できる職員を一か所に集約できると考えられます。そうすることで、人材育成と人材確保を実現し、一定のサービス品質を保つ・ノウハウを蓄積するなど、将来的な業務の品質向上につなげることが期待できます。

テレビ窓口システム導入ガイドブック

ユーザーの利便性向上

専門的な案内業務を市役所の本庁に集約し、各出張所からオンライン相談システムを介して問い合わせをすることができれば、市民は本庁まで足を運ぶ必要がなく、近所の出張所から手続きを行うことができます。

当然、窓口に出向くことができる人もオンライン相談システムを使えば、待たされない・利便性が上がるなどのメリットもあり、今後はもっと多くの利用可能性が広がっていくと考えられます。

オンライン相談システムを選ぶときの留意点

操作が単純で誰にでも使えるか

ITリテラシーのそれほど高くないユーザーでも簡単に使えるシステムであることが必須です。スマホでもPCでも簡単な操作で窓口にアクセスできるかどうかは気を付けたいところです。

相手側の環境に大きく左右されないか

オンライン相談システムを使って、相手側の回線や周囲雑音の影響で、音声が途切れやすい仕組みでないかは確認が必要でしょう。相手側のネット環境が悪くて多少映像がフリーズしても通信が維持でき、音声のやりとりができるシステムを導入できていれば、対応は可能です。

サポート体制がしっかりしていること

使用中のトラブルに即時対応できるサポート体制があるかどうかがとても重要です。

特にオンライン相談システムでは、相手側の環境に問題があった場合に、窓口の担当者がサポートできないことがあります。その場合に、2つの地点の双方をサポートしてくれる体制があるかどうか、サービス比較の際には検討要です。

お試しができること

どんなに評判のよいシステムでも、導入する環境や使用しようとしているサービスに合うかどうかを確認する期間が必要です。使いながら調整できるものなのか、納得の上で導入を決定できるかどうかを確認しましょう。

安心の対応を目指して

ご高齢で手続きを必要とする人が、多少の無理を押してでも、役所の窓口に出向くのはなぜか。それは、対面で接してもらう方が確実で安心だからです。 ITリテラシーの高くない人たちにも、オンライン相談システムが確実で安心な手段となれば、多くの人たちの利活用につながるはずです。そして、それは窓口業務の効率化やサービスの品質向上、人手不足や人材育成の課題解決に、今後極めて大きな効果をもたらすでしょう。

オンライン相談システムは、提供側にとってもエンドユーザーにとってもメリットの大きい仕組みとなることが期待されます。窓口業務のDXを推進して、効率よくそして安心できるサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

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