リモート窓口徹底解説!自治体がオンライン化を進める理由・実現方法

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日本国内の行政や自治体の業務は、海外と比べてデジタル化が遅れています。ペーパーレス化や印鑑レス化も十分に進んでいないため、従来の紙ベースの手続きが多く残っています。しかし、近年ではリモート窓口の導入が急速に進んでおり、住民が役所に出向かずにオンラインで手続きを行える環境が整えられつつあります。リモート窓口は、インターネットを通じて行政サービスを提供する新しい形態で、自治体や住民の利便性向上や業務効率化に貢献しています。

本記事では、リモート窓口の仕組みや導入方法や導入した自治体の事例、そのメリットについて詳しく解説します。

自治体の窓口業務のデジタル化。リモート窓口とは?

自治体の窓口業務のオンライン化とは、これまで市役所の窓口で行われていた業務をインターネットで行うことにより、オンライン上でも可能にすることです。 役所の窓口と言えば、転居届や保険・年金などの相談、各種助成金の申請など多岐にわたり、日常的に混雑しているというイメージを持っている人も多いでしょう。
さらに、手続きの内容によっては最寄りの支所や出張所では対応してもらえず、本庁舎まで行かなければならないケースも少なくありません。
しかし、窓口業務をオンライン化することで、わざわざ本庁舎まで行かなくても、支所や出張所からタブレットなどを使ってさまざまなサービスを受けられるようになります。

リモート窓口は自治体の2040年問題対策として有効

自治体が直面する「2040年問題」は、高齢化や人口減少により行政サービスの需要が増大する一方で、職員数や財政が逼迫するという課題です。この問題への対策として、窓口のデジタル化(DX化)が注目されています。リモート窓口を導入することで、住民は自宅や近隣の施設から行政手続きを行えるようになり、遠隔地や高齢者にもアクセスしやすいサービスを提供できます。

これにより、窓口業務の効率化が図られ、職員の負担軽減や業務の標準化が可能となります。また、オンラインでの手続きが普及することで、紙や交通にかかるコストの削減も期待できます。さらに、リモート窓口は災害時やパンデミック時にも柔軟に対応できるため、持続可能な行政サービスの提供に寄与します。総じて、リモート窓口のDX化は、限られた資源で最大の効果を生み出す手段として、2040年問題への有効な解決策となり得ます。

窓口業務をリモート窓口化する方法

窓口業務のオンライン化には、多大な費用や時間がかかると考えている人も多いですが、インターネット環境と専用のオンラインシステムを導入すれば、比較的短時間でコストも抑えながら実現できます。

リモート窓口システムの導入

自治体の窓口業務をオンライン化する際に用いられるのは「リモート窓口システム」「オンライン接客システム」「遠隔相談システム」などと呼ばれるビデオ通話システムです。

コロナの流行によって多くの企業でリモートワークが導入されましたが、その際に利用されたZoomなど一般的なビデオ会議システムとは、使い勝手などの点で少し異なります。
Zoomなどのアプリを使用する場合は、利用者の端末にも同じアプリをインストールしなければならず、操作方法も複雑です。 お年寄りやITに詳しくない人が使うには向いていません。

一方、専用の「オンライン接客システム」や「遠隔相談システム」であれば、アプリのインストールや操作方法など意識する必要がありません。 支所や出張所の窓口に設置されたディスプレイやタブレットのモニターをワンタッチするだけで、本庁舎の担当者につながります。

自治体の導入事例

オンラインシステムを導入した自治体の事例をご紹介します。

熊本県美里町役場の事例

熊本県美里町が導入した「リモート窓口システム」を活用した取り組みをご紹介します。町内に点在する複数施設間での円滑な情報共有と効率的な意思決定を目指し、テレビ会議システムであるLoopGateをテレビ窓口に最適化した「LoopGate(テレ窓)」を採用した美里町では、業務の効率化と職員間の連携強化を実現しました。特に、災害時における迅速な情報伝達や、リモート会議を通じた議論の効率化など、地域全体の安全性向上と住民サービスの質の向上に貢献しています。また、操作が直感的で簡単なことから、職員のITスキルに関係なく導入後の定着がスムーズに進みました。

記事では、美里町が抱えていた課題とテレビ会議システムの導入効果を具体的に解説し、自治体や公共機関が直面する類似の課題に対する解決策を提案します。住民に寄り添いながら地域課題に挑む美里町の事例をぜひご覧ください。

自治体2040年問題に対する美里町役場様のDX推進の取り組み

静岡県川根本町の事例

静岡県川根本町では、静岡県の美しい自然に囲まれた地域ならではの課題に取り組むため、「LoopGate(テレ窓)」を導入し、地域住民と行政をつなぐ新しいコミュニケーションの形を実現しました。本記事では、地理的な制約が大きい中山間地域において、どのように住民サービスを効率化し、町の活性化に役立てているかを具体的な事例を交えて紹介しています。特に、町民が遠方に住む家族や親戚と簡単につながる仕組みを提供することで、住民の満足度向上を図ると同時に、行政コストの削減も実現しています。また、観光案内や災害時の情報提供にも活用されており、その柔軟性と利便性が注目されています。

本記事を通じて、「LoopGate(テレ窓)」がもたらす新しい地域連携の可能性をぜひご覧ください。

リモート窓口導入にあたっての注意点

リモート窓口を導入するにはインターネット接続環境が必要です。ただ、セキュリティポリシーの関係でインターネット回線が使用できない場合もあるかと思います。その場合は、閉域網で使用できるシステムを選定候補に含めるとよいと考えられます。LoopGate(テレ窓)は閉域網対応可能ですので、不明点などはぜひお気軽にお問い合わせください。

自治体の窓口業務をデジタル化するメリット

自治体の窓口業務をオンライン化することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
利用者側と自治体側のそれぞれのメリットには、次のようなことが挙げられます。

利用者側のメリット

自治体が窓口業務をオンライン化することで、利用者側が得られるメリットは以下のとおりです。

待ち時間や移動の手間がかからない

自治体の窓口業務のオンライン化による大きなメリットは、市民の利便性の向上です。 各自治体には、本庁舎のほかに支所や出張所があり、本庁舎へ行かなくても最寄りの支所や出張所で用事を済ませられます。
ただし、自治体によっては、戸籍に関することや印鑑登録、税金の収納などの手続きが、支所や出張所ではできないことがあります。
この場合は本庁舎へ行かなければならないのですが、高齢者や体の不自由な方、移動手段が確保できない方などが距離のある本庁舎へ出向くのは困難です。

また、移動に伴い、交通費も負担しなければなりません。

しかし、窓口のオンライン化により、支所や出張所の窓口から本庁舎の担当者にアクセスできるようになれば、わざわざ本庁舎まで行かなくても用事を済ませられます。 とくに移動手段に乏しく、高齢化が進む地方自治体の市民にとっては、大きな利便性の向上と言えるでしょう。

専門家に気軽に相談できる

自治体によっては、支所や出張所の窓口からオンラインで、法律や税務の専門家に相談できるサービスも提供しています。 役所に提出する書類には、法律や税務などの知識が必要なものがあるため、オンラインで専門家に気軽に相談ができるのは非常に便利です。

自治体側のメリット

自治体が窓口業務をオンライン化することで、自治体側が得られるメリットは以下のとおりです。

コロナ対策が容易である

そもそも自治体の窓口業務のオンライン化が急がれた背景には、コロナの流行があります。

閉鎖されたスペースに多くの人が集まる市役所のような場所は、感染の温床ともなりかねませんが、だからといって市民サービスをストップさせるわけにはいきません。 その点、インターネットを介したオンライン窓口業務であれば、担当者と利用者が直接対面することがないので、感染のリスクがありません。

相手の顔が見えるので安心感がある

ビデオ会話が可能なオンライン窓口では、利用者と担当者がお互いを見ながら話ができるのも大きな特長です。

たしかに、窓口をオンラインにすることで市民の利便性は向上しますが、ツールがうまく使えないのであれば意味がありません。
しかし、利用者の表情や様子が見えることで、担当者は「相手は何がわからないのか」「どこで躓いてしまっているのか」を画面越しに知れます。 そして使い方を教えるときも、画面を通して具体的に手順を見せられるので、初めて利用する際にも安心です。
同様に、書類の書き方がわからないといったときも、画面があると便利です。 担当者が画面を見ながら記入方法を教えられるので、間違いや記入漏れが起こりにくくなります。
従来の電話でのやりとりでは、こういったことは難しいでしょう。

業務の効率化が図れる

コロナが流行する前から、行政や自治体における公務員の働き方については、改善が必要であると叫ばれてきました。
とくに転入・転出の多い時期には、待合室に利用者が溢れかえり、いつまでたっても業務が終わらないというケースもよく見られました。

今後高齢化や出生率の低下によって、さらに労働力が足りなくなるのが確実な中、窓口業務のオンライン化は自治体における業務の効率化にも貢献が期待されています。 具体的には、これまで本庁舎を訪れていた利用者が支所や出張所で用事を済ますようになるため、忙しい時期でも人員を増やすことなく対応することが可能です。
さらに、対面で行われていた相談会などをオンラインにすることで、コールセンターなどで一括して対応できるようになります。

また、業務のオンライン化は、ペーパーレス化とも非常に相性のよいシステムです。 タブレットやモニターを活用することで、わざわざ紙の資料を作成して配布する必要がなくなりますし、書類を電子化して保存することも容易です。

利用者からのよくある質問

利用者からのFAQとしては「リモート窓口を利用するにはどのような手続きが必要ですか?」「操作が分からないのですがどうすればよいですか?」などがよくあります。これらの質問に対しては、自治体のウェブサイトで利用方法の詳細について紹介し、動画やマニュアルを提供することが効果的です。また、リモート窓口システムはワンタッチでつながる簡単操作ではありますが、スタッフが接続まで案内し、利用者の操作は完全に不要にするというのも効果的です。この場合はスタッフのためのトークスクリプトを準備しましょう。

書かない窓口

リモート窓口システム「LoopGate(テレ窓)」はWEB会議をベースとしておりますが、近年「書かない窓口」と呼ばれるデジタル化の仕組みも普及しております。

書かない窓口は、住民が自治体の窓口で手続きを行う際、申請書類への記入負担を軽減する取り組みです。デジタル技術を活用し、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類から情報を読み取り、申請書に自動転記することで、住民の負担を減らし、職員の業務効率化を図ります。

この取り組みは、デジタル庁が推進する「自治体窓口DX」の一環であり、「書かない、待たない、回らない、ワンストップ窓口」の実現を目指しています。具体的には、住民が複数の窓口を回ることなく、一度の手続きで必要なサービスを受けられるようにするものです。 
例えば、青森市では2024年10月1日から「書かない窓口」を導入し、マイナンバーカードや運転免許証を使用して申請書の自動作成を行っています。  また、中野区でも同様のサービスを提供しており、事前にスマートフォンやパソコンから必要情報を入力することで、窓口での記入を省略できる仕組みを導入しています。 このような取り組みにより、住民の利便性向上と自治体職員の業務負担軽減が期待されています。

実証実験

リモート窓口の導入に先立ち、多くの自治体では実証実験を行っています。これにより、システムの運用における課題や利用者の使い勝手を検証することができます。例えば、ビデオ通話による相談窓口の利用頻度や、実際の手続き時間の短縮効果を測定することで、さらなるサービス改善の方向性を見出すことが可能です。実証実験の結果を元に、最適なシステムやサポート体制を整備することが、リモート窓口をはじめとしたデジタル化の成功に繋がります。弊社ギンガシステムでも実証実験のご案内が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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