
本記事の要約
全国に拠点を展開する金融機関が、災害やシステム障害などの非常時でも業務を止めないために、拠点間常時接続システム「お隣オフィス」を導入しました。東京・大阪の主要拠点を平時から常時接続し、業務状況・判断プロセス・ノウハウを日常的に共有することで、非常時にも“特別な切り替え”を必要としないデュアルオペレーション型BCP体制を確立。トラブルの兆候を拠点横断で早期に捉え、迅速に連携して解決できる運用基盤と、拠点を越えたチームワークの醸成を同時に実現した事例です。
<導入企業>
全国展開の金融機関様
<解決した課題>
・災害時に業務を止めないBCP(事業継続計画)体制の構築
・拠点間コミュニケーションの分断
・新人教育・業務ノウハウ共有の属人化
<導入ソリューション>
リモートコミュニケーションシステム「LoopGate」の
常時接続型ソリューション「お隣オフィス」を東京・大阪の2拠点に導入
<導入効果>
・デュアルオペレーションによる災害時でも業務を止めないBCP体制の確立
・トラブルの兆候を拠点横断で即時共有し、早期解決を実現
・拠点を越えたチームワークと一体感の醸成
導入企業について(全国展開の金融機関)
本事例の導入企業は、全国に複数拠点を展開する金融機関です。金融機関は、日々の業務が社会インフラとして機能していることから、災害・停電・回線障害・システム障害など、想定外の事態が発生しても業務を継続できる体制(BCP:事業継続計画)が強く求められます。
一方で、平時の業務においても、業務のデジタル化・効率化、教育・OJTの均質化、拠点間の連携強化など、多面的な改善が必要になります。今回の取り組みは、こうした要請を背景に、平時の運用そのものをBCPとして機能させるという発想から検討が進められました。
導入前の課題(BCPと拠点間連携の両立)
導入前、金融機関では以下の課題が顕在化していました。
課題1:災害時にも業務を止めないBCP体制の構築
災害時の業務継続は重要である一方、非常時だけのために運用を切り替える設計では、いざというときに機能しないリスクがあります。「非常時の手順が複雑」「切り替えの判断が遅れる」「手順が形骸化する」といった課題が起こりやすく、平時の延長で自然に移行できる体制が求められていました。
課題2:拠点間コミュニケーションの分断
拠点間の連携は主に電話などの個別連絡が中心で、情報が点で伝わる状態になりやすく、状況共有が限定的でした。トラブルが発生した際に、認識のズレや対応の遅れが生じることもあり、リアルタイムでの連携基盤が必要でした。
課題3:新人教育・業務ノウハウ共有の属人化
拠点ごとに経験やノウハウが蓄積される一方で、教育内容・判断の基準・対応の粒度が拠点や担当者に依存しやすく、属人化のリスクがありました。特に金融機関では、対応品質の一貫性が重要であるため、遠隔でも同じレベルの教育・OJTができる土台が求められていました。
BCP対策として採用された「デュアルオペレーション」とは?
今回の取り組みの中心となる考え方がデュアルオペレーションです。
デュアルオペレーションとは、複数拠点が同一業務を平時から共有し、相互に補完できる体制を整えることで、どちらかの拠点が災害などで機能停止した場合でも、もう一方が即座に業務を引き継げるようにする運用方式を指します。
重要なのは、非常時に“特別な体制へ切り替える”のではなく、平時から業務の状態・判断の流れ・ノウハウが共有されていることです。そうすることで、非常時でも特別な切り替え作業を最小化し、平時の延長として業務継続へ移行できます。
どのように解決したか(お隣オフィスによる拠点間常時接続)
金融機関では、デュアルオペレーションを実現する手段として、リモートコミュニケーションシステム「LoopGate」の常時接続型ソリューションである拠点間常時接続システム「お隣オフィス」を、東京・大阪の2拠点に導入しました。
お隣オフィスにより、東京と大阪が常に映像と音声で結ばれることで、以下が日常的に“見える化”されます。
- 拠点の業務状況(誰が何に対応しているか)
- トラブルの兆候(人が集まっている、対応が長引いている等)
- 判断プロセス(なぜその判断に至ったか)
- 会話の流れ(背景を含めた共有)
この“平時の共有”が、そのまま非常時の引き継ぎ基盤となり、「切り替えるBCP」ではなく「平時の延長として機能するBCP」の実現につながりました。
導入後の効果・変化
効果1:災害時でも業務を止めないBCP体制(デュアルオペレーション)の確立
平時から業務状況・判断プロセス・ノウハウが共有されているため、非常時にも一方の拠点が即座に業務を引き継げる状態が整いました。運用を“切り替える”のではなく、日常の延長として自然に継続できる点が、実効性の高いBCPにつながっています。
効果2:トラブルの兆候を拠点横断で即時共有し、早期解決を実現
常時接続により、別拠点の状況を視覚的にも把握できるため、トラブルの兆候を早期に察知しやすくなりました。課題を抱える拠点に対して、もう一方が自然に声を掛け、過去事例や知見を持ち寄って解決策を検討する動きが定着し、問題解決のスピードが向上しました。
効果3:拠点を越えたチームワークと一体感の醸成
映像を通じたコミュニケーションでは、表情や身振りといった非言語情報が伝わるため、相手の状況や温度感を理解しやすくなります。画面越しであっても相手の存在を身近に感じられることで自然な会話が生まれ、拠点間の心理的距離が縮まり、チームとしての一体感や信頼関係の醸成にも寄与しました。
拠点間常時接続を行っている上でのエピソード
例えば、ある拠点で特定の席に人が集まっている様子が画面越しに見えた際、別拠点のメンバーが「何かトラブルが起きているのでは」と気づき、こちらから声を掛けて議論に加わるといった場面が日常的に生まれています。
こうしたやり取りを通じて、拠点の枠を超えて知恵を出し合い、過去の事例に基づく解決策を共有することが可能となり、トラブルの早期発見と迅速な対応が実現しています。
導入検討時の不安と、デモンストレーションの役割
導入検討時には、常時カメラがつながることによる「監視されているような感覚」を懸念する声も一部にありました。しかし実際にデモンストレーションを体験し、映像や音声の自然さ、声を掛け合う距離感を体感することで、その不安は次第に解消されていきました。
運用が定着した現在では、常時接続の映像は特別な存在ではなく、オフィスの風景の一部として自然に受け入れられている状態になっています。
サポート体制も含めた安心感(金融機関要件への適合)
金融機関の基幹業務を支えるシステムでは、安定性とサポート体制も重要です。お隣オフィスは国内開発・国内サポート体制が整っており、万一機器や回線にトラブルが発生した場合でも、状況を共有しながら迅速に対応できる点が安心感につながっています。
日常運用の中で「困ったらすぐ相談できる窓口がある」ことは、長期運用における信頼性を高める重要な要素となります。
今後の計画(新人教育・OJTへの展開)
今後は、拠点間常時接続環境を新人教育やOJTにも積極的に活用していく構想をお持ちです。東京と大阪で教育内容や経験に差が出ないよう、ベテラン職員の対応や判断をリアルタイムで共有しながら、遠隔地であっても同じレベルの指導を行える体制を整えていく予定です。
拠点間の連携強化にとどまらず、BCP対策としての業務継続体制の中核に常時接続環境を組み込むことで、平時と有事を分け隔てなく支える運用基盤が形成されつつあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ「切り替え型BCP」ではなく「平時の延長として機能するBCP」が重要なのですか?
非常時専用の手順や体制は、実際の現場では運用が形骸化しやすく、判断・切り替えが遅れるリスクがあります。平時から同じ仕組みで運用していれば、非常時にも特別な切り替えを最小化でき、実効性の高いBCPになります。
Q2. デュアルオペレーションを成立させるために必要な条件は何ですか?
複数拠点が「同じ業務を平時から共有できていること」が重要です。業務状況や判断プロセス、ノウハウが日常的に見える化されていることで、非常時に一方が停止しても、もう一方が即座に引き継げます。
Q3. 常時接続は「監視されている」と感じませんか?
導入検討時は懸念が出やすいポイントですが、実際には“監視”ではなく“自然な声掛け”が生まれる距離感として受け入れられるケースが多いです。デモ体験により、映像・音声の自然さや運用イメージが掴めると不安は解消しやすくなります。
Q4. トラブル時のサポートはどうなりますか?
金融機関の業務では安定性とサポート体制が重要です。お隣オフィスは国内開発・国内サポートで、万一の機器・回線トラブル時も状況を共有しながら迅速に相談・対応できる体制を整えています。
まとめ
本事例を通じて、拠点間常時接続システム「お隣オフィス」は、金融機関におけるデュアルオペレーション型のBCP体制を実現しながら、日常業務ではトラブルの兆候を早期に捉えて拠点横断で解決する動きと、拠点を越えたチームワークの醸成を同時に促進できることが分かりました。
この度は、貴重なお話・ご意見を沢山いただき、誠にありがとうございました。
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