これまでの自治体の窓口と言えば、平日の9時~17時の間に役所まで出向き、順番待ちをして書類を記入・印鑑の押印をして提出し、手続きが終わるのを待つのが定番です。
引っ越しシーズンなどは、転出入手続きのために1時間も2時間も待たされることもしばしばです。
郵送で対応できる手続きもありますが、記入漏れや添付書類漏れなど不備があると、訂正のうえ提出し直さなくてはなりません。
こうした面倒や手間を軽減し、自治体の遠隔窓口でワンストップ対応するための環境整備が進められています。
自治体で遠隔窓口でのワンストップ対応が求められる理由
これまで自治体の窓口は、民間でどんなにIT化が進んでも、書類と印鑑、対面や郵送での手続きなどのオンライン化がいっこうに進みませんでした。
しかし、政府が主導となって推進しているDX化が求められる中、意図せぬコロナ禍により非対面接触・遠隔でのワンストップ対応が求められることとなり、一気にオンライン化・遠隔化が進んだ状況です。
開庁時間とライフスタイルが合わない
遠隔によるワンストップ対応が求められる1つの理由は、自治体の窓口の開庁時間と、多くの人のライフスタイルが合わないことです。
平日9時~17時の開庁時間は、多くの方が会社で働いている時間と重なります。
自治体の窓口と職場が離れている方も多いので、仕事の合間に立ち寄れません。
窓口に来るために職場を早退したり、遅刻したり、有給休暇を取得したりしなくてはならないなど、不便が生じています。
そのため自宅や職場をはじめ、スマホ片手にお昼休みの休憩場所から、遠隔でワンストップ対応してもらえれば便利です。
アクセスが不便
自治体の役所は一見、便利な場所にあるように思えますが、自治体が広いほど遠方に住んでいる方は行くのが大変です。
また小さな自治体であっても、過疎化が進むなどして窓口が1ヶ所しかないといった場合、簡単に行ける場所にはありません。
バスの便、本数が少ないなど、アクセスが不便な自治体の窓口も多いです。
遠隔でワンストップ対応ができれば、住んでいる場所を問わず、速やかに対応できます。
人手が足りない
少子高齢化で人材が不足する中、過疎化などで自治体の財政も厳しく、多くの人材をそろえることが難しいケースもあります。
子育て中の職員や、定年を迎えた職員が嘱託職員となって、自宅などで窓口業務を遠隔で対応できれば、よりスムーズな住民サービスを提供することが可能です。
手続きがわかりにくい
行政手続きは書類の書き方が複雑でわかりにくいうえ、添付すべき必要書類の数も多いです。
印鑑を押し忘れた、1ヶ所書き忘れただけで不備となって戻され、手続きを完了できません。
スマホやタブレットを使って遠隔でお問い合わせできれば、お互いに画像を映し出しながら、書類の書き方を教えたり、不備がないかその場で確認したりして、訂正を行えます。
書類のミスがないかも確認できるので、漏れや不備を防いで、速やかにワンストップ対応で書類の提出ができます。
窓口では相談しにくい
窓口では、相談しにくいことも多々あります。
生活保護や児童手当、そのほかの経済的な申請や福祉関連の相談は、誰かに見られたくないという方も少なくありません。
DVに悩む方が、配偶者に住民票を閲覧されないようにする手続きなどは、窓口に行くことで配偶者に発見される恐れがあります。
誰にも見られない場所で、遠隔で相談できると助かります。
外国人の住民の増加
都心部から地方の自治体まで、外国人の住民が増加してきました。
外国人は日本語が話せるか否かを問わず、日本語の書類はわかりにくいうえ、行政手続きや地域のルールなど理解しにくいことが多いです。
英語圏以外の外国人も多いため、多言語対応が求められます。
遠隔で通訳ができる方を配置し、外国人住民と自治体職員の間に入って遠隔で通訳を行ってもらえれば、ワンストップ対応が可能となります。
すべての方に平等で公正なサービスを届ける使命
自治体においては、すべての住民に平等かつ公正なサービスを届けることが必要です。
高齢者も若い人も、外国人も障がいがある方も、誰もが同じようにスムーズに手続きができ、安心で快適な生活を送れるようサポートしなくてはなりません。
そのためにも、それぞれの方に便利で使いやすい遠隔窓口によるワンストップ対応が求められています。
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自宅や職場から気軽に
「書類の書き方がわからない」「添付書類がそろっているか確認したい」といった方も、遠隔からお問い合わせや確認ができると便利です。
申請書類をメール添付してもらったり、役所のホームページからダウンロードしてもらったりすることで、お互いに画面を見ながら書き方の指南も受けられます。
書いている間もチェックしてもらえれば、不備で戻される心配もありません。
書類の書きはじめから申請まで、ワンストップ対応が可能になります。
会社員も相談しやすい
これまでわざわざ有休を取得して窓口に訪れていた会社員も、職場の休憩時間にスマホで相談できます。
職員のシフトを組み、夜間も対応するなど、遠隔窓口の対応時間を柔軟にすれば、より利便性が高まるでしょう。
自営業者や子育て中の方も相談しやすい
自営業者や子育て中の方は、お店や自宅を離れることが難しいです。
自宅や職場から遠隔で手続きできるようになれば、便利です。
事務所や現場で対応できる
頻繁に役所を行き来している行政書士や、建築確認などの相談をしたい工務店などの事業者も、遠隔窓口ができれば事務所や現場を離れずに相談できます。
移動時間をカットして、業務の効率化に役立ちます。
高齢化や過疎化が進む地域でもワンストップ対応を
遠隔窓口のあり方は、自宅や職場からアクセスできることだけを意味しません。
自宅や職場から自分でとなると、パソコンやスマホを持っていない方や使いこなせない方、高齢者などが置いてけぼりにされてしまう恐れがあります。
自治体は誰でも平等で、公正なサービスの提供が求められます。
そのため、各自が遠隔からワンストップ対応できる方法だけでなく、すべての方が遠隔で便利に、ワンストップ対応の提供が受けられる環境整備や体制づくりも必要です。
最寄りの集会所をサテライトに
たとえば、役所まで遠い方、免許返上などで行く手段がない方、子育てや家族の介護で長時間、家を離れられない方が、自宅から近い集会所や公民館などで遠隔窓口を利用できると便利です。
職場から役所は遠回りな方も、集会所なら仕事帰りに間に合うといった方もいるかもしれません。
集会所にパソコンやタブレットなどを設置し、住民が画面をタッチすると、自治体の窓口とオンラインでつながる仕組みを構築します。
パソコンやスマホを持っていない方も遠隔でワンストップ対応
パソコンやスマホを持っていない方、難しい操作がわからない方も、画面タッチで簡単に進められる端末を使って、気軽に遠隔からワンストップ対応を利用できるようになります。
わざわざ自治体の窓口まで足を運ばなくても、双方が書類を画像で見ながら書類が書けるなど、便利にワンストップ対応ができるのがメリットです。
高齢者も遠隔窓口が利用できる方法
高齢者でもスマホを持っている方は多いですが、思ったように使いこなせずにいる方もいます。
遠隔相談をするにも、どこをどう操作したらいいかわからない方も少なくありません。
集会所に、週に何度か時間を決めてサポート員を配置し、操作の仕方をサポートできれば、遠くまで出かけるには体が辛い、免許返上で移動手段がない、スマホの使い方がわからない高齢者も、遠隔で便利に手続きを行えます。
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