
導入企業: 株式会社前川
本社所在地: 東京都江東区牡丹3-14-15
関連法人: 株式会社前川インターテック
関連法人: 株式会社前川レジャーシステム
導入製品: 拠点間常時接続システム「お隣オフィス」
機器構成: 関連3社5拠点常時接続+お知らせ表示専用PC 1台

今回の導入に関わる3社は、いずれも産業用冷凍機・食品加工機械などで世界展開する株式会社前川製作所(国内売上高(単体) 1,037億円、海外関連会社総売上高 1,547億円)の関連法人であり、本社所在地を東京都江東区牡丹に共有している。ただし事業領域はそれぞれ全く異なる。
株式会社前川は、不動産賃貸管理を主要事業とし、目黒・戸塚・勝どきなどで賃貸マンションの管理運営を手がけている。今回のお隣オフィス導入では契約主体を務め、本社に常時接続端末とお知らせ表示専用PCの計2台が設置されている。グループ3社への情報配信の起点となる拠点である。
株式会社前川インターテックは、前川製作所の製氷事業部を母体として1986年に独立法人化された会社で、氷の製造・販売および冷蔵倉庫業を主力とする。守谷製氷工場(茨城県守谷市)と和歌山製氷工場(和歌山県和歌山市)の2拠点が今回の常時接続に参加している。製氷工場は温度管理・生産スケジュール・出荷管理が日々変動する現場であり、本社との情報同期の必要性が高い。
株式会社前川レジャーシステムは、スポーツ施設の経営・運営管理およびレストラン経営を事業とする。朝霧ジャンボリーゴルフクラブ(27ホール)、朝霧ビーナスガーデンゴルフコース、朝霧ジャンボリーオートキャンプ場などを運営する朝霧営業所(静岡県富士宮市)と、長野営業所(長野県長野市)の2拠点が接続されている。
不動産管理、製氷、ゴルフ場・キャンプ場運営──業種が異なる3社がそれぞれ、同じ企業(前川製作所)の関連法人という関係性にあることにより、拠点間の情報共有が「社内連絡」では済まず、かといって「社外取引」ほどの距離感でもないという独特の状況が生まれている。今回のお隣オフィス導入は、この”独自の距離感”を常時接続で埋めるプロジェクトだった。
関連3社が抱えていた課題
業種が違う3社の5拠点に「同じ情報を同じタイミングで届ける」手段がなかった
関連3社は、事業領域も現場の業務リズムもまったく異なる。製氷工場は早朝から生産・出荷が動き、ゴルフ場は季節と天候で稼働が大きく変わり、不動産管理はテナント対応を中心に動いている。それぞれが独立した業務サイクルを持つなかで、各社が横断で共有すべき連絡事項や方針の伝達は、従来メールか電話に頼っていた。
問題は、メールや電話では「伝えたタイミング」と「読まれたタイミング」が一致しないことだ。製氷工場の朝は出荷対応で手が離せず、ゴルフ場はシーズン中に事務所に座っている時間そのものが少ない。結果として、グループ全体に共有すべき情報が拠点ごとにバラバラのタイミングで伝わり、温度差が生まれる。同じグループの関連会社でありながら、「隣にいる感覚」が物理的な距離の分だけ希薄になっていた。
初回商談時の議論のテーマになったのが、常時接続に対する「監視されているのではないか」という心理的ハードルだった。しかし双方向で映り合うので「お互い様」の空気となる点、他社導入事例では3日もあれば風景として馴染むという実例が紹介されると、この懸念はその場で解消に向かった。地方拠点の孤立感が薄まり、離職率の低下に寄与した事例は、前川側でも強い関心を集めたという。
もうひとつ、PC版の常時接続(Teams等)ではなく専用機を選んだ背景も明確だった。PC版は動作が重く、常時接続には向かない。現場ではITリテラシーが均一でない拠点も含まれており、リモコン1つで操作が完結する専用機の簡便性が評価された。
お隣オフィスがこれらの課題をどのように解決したか
関連3社5拠点の常時接続プラス、”グループ共通お知らせ画面”

回の取り組みでユニークな点は、前川からRTCテックソリューションズへのお申し出ではじまった。
5拠点+PC画面表示、6分割画面でそのうちひとつをお知らせ等を表示したPC画面を常に表示するような運用をする予定です。
「6分割画面でそのうちひとつをお知らせ等を表示したPC画面を常に表示する」──つまり、追加する6台目を、5拠点すべての画面にグループ共通のお知らせを常時表示し続けるための端末として使いたい、という運用設計だ。お知らせ表示専用PCは株式会社前川本社に設置され、モニター画面を6分割し、画面左上を「グループ共通お知らせ固定エリア」として常時表示する運用である。
お隣オフィスが関連3社にもたらした変化

製氷工場もゴルフ場も不動産管理の本社も、毎朝同じ位置に同じお知らせが映っている
導入後、5拠点の朝は、メインスクリーンの左上を確認するところから始まるようになった。6分割された画面のうち1画面に、グループ横断で共有すべき連絡事項──方針変更、イベント案内、共通の業務注意事項、季節対応方針──が常時表示されている。
この仕組みの価値は、業種が異なる3社で同じ情報を同時に届けられる点にある。従来であれば、株式会社前川本社から各社にメールで個別に連絡し、それぞれの社内で回覧されるのを待つしかなかった。いつ読まれるか、そもそも読まれたかどうかも分からない。それが今は、画面の左上に映っている情報が「全拠点で同じもの」であると、誰もが知っている状態になっている。
常時接続側の5台にも並行して効果が出ている。茨城の守谷製氷工場と和歌山の製氷工場、静岡の朝霧ゴルフ場と長野営業所──物理的には数百キロ離れた拠点同士が、会議を立ち上げずに「ちょっと聞く」だけで照会できるようになった。特に同じ会社の別拠点(インターテック同士、レジャーシステム同士)は業務内容が共通しているため、常時接続の恩恵がダイレクトに効いている。
関連会社間のやりとりにも変化がある。株式会社前川本社から前川インターテックや前川レジャーシステムへの連絡は、以前は電話かメールだった。常時接続で画面越しに相手の状況が見えるようになったことで、「今は忙しそうだから後にしよう」「今なら声をかけられそうだ」という判断が自然にできる。互いの連絡が、社外取引のような距離感でも社内連絡のような気安さでもない、ちょうど良い”常時接続の距離感”に収まった──これが、業種の異なる3社を1つの画面で束ねたことで生まれた最大の変化だろう。
今後の展望
「グループ共通お知らせ画面」に載せる情報の設計と、接続先の拡張
今回の導入は、3社・5拠点を1つのグループにして、常時接続5台+お知らせ表示専用PC 1台の6台構成で立ち上がった。運用が始まった段階で、拡張の筋は少なくとも次の方向に開かれている。
「グループ共通お知らせ画面」に載せる情報の設計。6分割画面の左上という”毎日必ず目に入る場所”を、3社横断でどう使うかは、運用が進むほど可能性が広がる。共通の方針伝達だけでなく、各社の繁忙情報(製氷工場の出荷ピーク、ゴルフ場のシーズン稼働)を他社にも見える形で流す、グループ横断の表彰や業務改善事例を共有する、といった使い方が考えられる。3社の業種が異なるからこそ、他社の業務リズムを日常的に目にすることが、グループとしての一体感を醸成する手段になり得る。
業種がバラバラな関連会社を1つの常時接続で束ね、さらにグループ共通のお知らせ画面で同じ情報を同時に届ける──この構成は、複数法人・複数事業を持つグループ企業にとって、参考にする価値のあるモデルといえるだろう。




