【お隣オフィス導入事例】フルHDの映像通信が「色」を繋ぐ。カナヱ塗料の調色実運用と技術育成

【LoopGate導入事例】高解像度の映像通信が「色」を繋ぐ。カナヱ塗料の調色実運用と技術育成

製造業において、熟練の職人技をどのように次世代へ伝えていくかは、多くの企業が抱える重要な課題です。特に「色を作る(調色)」のように人の感覚や経験に大きく依存する繊細な作業では、その難易度は跳ね上がります。

日本に4社しかない船舶塗料メーカーの一角であるカナヱ塗料株式会社様は、この課題に対し、機材に工夫を凝らした独自の「調色作業遠隔支援システム」を構築。そこにリモート映像通信「LoopGate」のフルHD(高解像度)通信を組み合わせることで、繊細な調色作業にも耐えるパフォーマンスを実現し、技術者の育成と業務効率化(スピード対応)を両立させています。

「色のズレ」が許されない現場において、同社はどのような工夫で遠隔支援を実現したのでしょうか。

カナヱ塗料株式会社について

1927年(昭和2年)に創業したカナヱ塗料株式会社は、大阪に本社を構え、船舶用塗料をはじめ、工業用塗料や建築用塗料などを幅広く展開する総合塗料メーカーです。

特に同社の主力である「船舶塗料」は、国際条約に基づく厳しい規制や世界中の環境基準に適合する必要があり、極めて高い専門性が求められます。日本では船舶塗料を手掛けるメーカーは4社しか存在せず、他社がマリン専業会社として分社化する中、同社は総合塗料メーカーとしての強みを活かし、研究開発から製造・販売まで一貫した体制で日本の海事産業を支え続けています。

カナヱ塗料株式会社 ホームページ

カナヱ塗料株式会社

カナヱ塗料が抱えていた課題

塗料メーカーである同社にとって、「色を作る(調色)」工程はまさに事業の生命線です。
しかし、この調色技術の実運用と伝承には、現場ならではの厚い壁が立ちはだかっていました。

育成に5〜10年。経験と高度な感性が求められる「調色技術」

調色は、単に塗料を混ぜ合わせれば良いというものではありません。「経験を積んだ職人の感性」が必要とされる高度な技能です。カナヱ塗料の大賀様は、現場の難しさを次のように語ります。

調色技術は直ぐに得られるものではなく、育成には5年から10年もの歳月がかかります。
この高度な技能を持つ技術者の育成が重要課題の一つです。

カナヱ塗料株式会社
統括推進部長 大賀 様

この技能の差は、生産性に直結します。調色は感覚だけでなく経験の積み重ねによって判断力が磨かれていく仕事でもあります。

通常の作業者であれば1〜2時間かかる調色作業も、技術者であればわずか10〜15分で完了させることができます。このため、若手が技能を身につけるには実務で調色に触れる機会を増やすことが不可欠でした。

受注から発送までの「スピード対応」と拠点の分散

さらに現場から改善課題として挙がっていたのは、スピード要求への対応です。
塗料は「朝に注文が入り、午後3時には出荷する」というスピード感が求められる同社のビジネスモデルにおいて、現場での調色判断には即時性が求められます。
しかし、数少ない熟練者は特定の拠点にしかおらず、分散する工場拠点のすべてをカバーすることは物理的に不可能でした。遠隔作業による業務効率化が急務となる中、拠点間を繋ぐシステムが検討されましたが、一般的なWeb会議ツールでは不十分でした。

Web会議システムでは、一番伝えたい職人の感覚を正確に伝えることはできませんでした

同社が求めていたのは、単に顔を見て会議をするためのツールではなく、現場で実際に色を作る作業を高解像度で共有し、同時に技術を育成できる仕組みだったのです。

LoopGateはどのようにカナヱ塗料を支えているのか

繊細な調色作業に耐える独自の工夫と「フルHD」の価値

一般的なシステムでは「色の共有」ができない。そこでカナヱ塗料様は、「既製の完成品をそのまま使うのではなく、市販機器を組み合わせて自社に最適化する」という合理的な設計思想のもと、独自に「調色作業遠隔支援システム」を構築しました。

このシステムの最大の要は、「手元の色を精緻に捉えるカメラの工夫」と、「それを劣化させずに届けるLoopGateのフルHD表示」の組み合わせにあります。

カナヱ塗料の調色技術を支える「調色作業遠隔支援システム」
カナヱ塗料の調色技術を支える「調色作業遠隔支援システム」
  • リモート映像通信: LoopGate(フルHDの映像通信システム)
  • 映像入力: 顔用カメラ + 調色ボックス内部 35°狭角手動フォーカスwebカメラ
  • 映像処理: 画面合成ソフトウェア
  • 情報共有: 社内イントラネット・調色ソフトの画面共有
  • 出力機器: 縦型モニター + 外付けスピーカー(工場環境に適合)

LoopGateは映像通信に特化しており余計な機能がないため、カナヱ塗料様が構築した「2画面合成ソフトウェア」や「調色ソフトの画面共有」といった独自システムと組み合わせる基盤として、非常に扱いやすいという強みがあります。

高額なシステムは自由が利かなくて扱いづらいですが、LoopGateはシンプルなので、
他のシステムとの組み合わせに最適でした。

手元の「色」を的確に捉えるカメラの工夫(狭角度・手動フォーカス)

調色ボックスの内部(手元)を映すカメラには、同社ならではの強いこだわりが反映されています。

一般的なWebカメラは画角70~78°の「広角度」が主流ですが、同社はあえて「画角35°の狭角度カメラ」を採用しました。広角で余計な背景まで映してしまうのを防ぎ、調色ボックス内に置いた調色サンプルの「必要な部分だけ」を的確に抜き出して画面に映し出すためです。

さらに、被写体が変わるたびにピントが迷うオートフォーカス機能は使わず、あえて「手動フォーカス」のカメラを選定。定点で常にサンプルにピントが合うよう、現場の実作業に合わせた緻密な工夫が施されています。

微細な映像表示には「オブジェクトカメラ(IPEVO)」も有効

製造業や設計の現場において「手元の細かい作業や微細な対象物」を高解像度で共有したい場合、接写に特化した「オブジェクトカメラ」の活用も有効です。
資料の小さな文字や、精密な電子基板、製品の表面の質感などをクッキリと表示できるオブジェクトカメラ(接写カメラ)として、「IPEVO P2V ULTRA」があります。

オブジェクトカメラは時計のギミックまで鮮明に映し出す。
オブジェクトカメラは時計のギミックまで鮮明に映し出す。

LoopGateのフルHD表示と組み合わせることで、対象物の細部まで劣化させることなく、テレビ会議や拠点間の常時接続で活用することが可能です。

色調のズレを抑える「フルHD」だからこそ実現できた遠隔支援

そして、これらの工夫を凝らしたカメラの映像を遠隔地へ届けるインフラとして選ばれたのが、フルHD映像通信が可能な「LoopGate」です。

通信システム側で画質が落ちてしまっては意味がありません。LoopGateはフルHD表示で映像を届けてくれるため、色調のズレを抑えた遠隔支援が可能になりました

映像のきめ細やかさを決める解像度:「フルHD(1080p)」とは?

映像のきめ細やかさは「解像度(画素数)」で決まります。一般的なSD画質やHD画質(720p)に対し、LoopGateが対応するフルHD(1080p)は、約207万画素という圧倒的な情報量を持ちます。これにより、画面を拡大しても映像がぼやけにくく、カナヱ塗料様が扱う「微妙な色の違い」や「繊細な手元の作業」など、細部までクッキリと相手に伝えることが可能です。

SD画質とフルHD画質、解像度のきめ細やかさの比較
SD画質とフルHD画質、解像度のきめ細やかさの比較


LoopGateの「シンプルさ」と「フルHDを相手に届ける映像の鮮明さ」というプロダクトに、大賀様のアイデアを組み合わせたこの素晴らしい仕組みが、今では他塗料メーカーや製造業の企業が参考にしようと、カナヱ塗料に視察に訪れるほど脚光を浴びています。

LoopGateの価値:遠隔調色の効率化と技術育成の実現

カメラの工夫とLoopGateのフルHD通信が組み合わさったことで、カナヱ塗料様は遠隔での調色実務の効率化と、若手技術者の育成を見事に両立させています。

フルHD通信が支える「色」のリアルタイム共有

実運用では、合成ソフトウェアを用いて「作業者の顔」と「狭角度カメラが捉えた調色ボックス内部の色」をひとつの画面に同時に映し出しています。

遠隔地にいる熟練技術者は、現地の作業者の表情(理解度)を確認しながら、同時に手元の色の変化をLoopGateのフルHDモニター越しに鮮明に見つめます。
現場のリアルな色を正確に共有できるからこそ、「もう少し赤みを足して」といった具体的な指示がズレなく伝わり、受注から発送までのスピード対応(業務効率化)を実現しています。同時に、実作業を通じたリアルタイムな技術育成(OJT)の環境が整いました。

デジタル測色(数値)と肉眼(映像)のハイブリッド評価

また、職人の「勘」だけに頼らない工夫も施されています。現場のタブレットや社内イントラネットを通じて、測色計で計測したデータ(LAB値、ΔE)などを共有しています。

フルHD映像を通じた「肉眼による感覚的判断」と、データによる「数値評価」を両立させ、より精度の高い調色実務と指導を行っています。

今後の展望:海外拠点への技術伝承へ

現在、LoopGateを組み込んだこのネットワークは、調色の実運用にとどまらず、工場設備の遠隔監視や異常時の早期対応といった現場インフラとしても活用の幅を広げています。

事務所-工場-調色作業所を常時接続
事務所-工場-調色作業所を常時接続

さらにカナヱ塗料様は今後の展望として、「海外展開を見据えた技術支援基盤」への発展を視野に入れています。

タイやミャンマー、バングラデシュといった東南アジア圏への技術指導も進めています。
将来的には、この仕組みを発展させ、現地に行かなくても精度の高い技術指導ができるグローバルな環境を作りたいです。

船舶塗料という高度な専門分野で培われてきたカナヱ塗料の調色技術。
同社の取り組みは、それを支える通信品質(フルHD)があれば、人間の感覚に依存する繊細な技術であっても遠隔で伝承できることを証明しています。LoopGateはこれからも、同社の品質とスピードを通信基盤として支え続けます。

高品質なテレビ会議を実現のダウンロード
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