中山間地域の医療を守る!長岡市が挑む未来の診療―LoopGateが切り拓くオンライン診療革命

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長岡市様

長岡市(ながおかし)
新潟県の中南部に位置し、人口約26万人を擁する県内第2の規模の市。豊かな自然と都市機能を兼ね備えたエリアでありながら、山間部には高齢化が進む地域が点在しています。深刻化する医療アクセスの問題に対応するため、オンライン診療の導入を推進しています。

長岡市 山古志地域の風景(長岡市提供)
長岡市 山古志地域の風景(長岡市提供)

少子高齢化が進む日本において、過疎地域や山間地の医師不足は深刻な課題となっています。長岡市も例外ではなく、特に山間部の診療体制の維持が大きな懸念でした。そこで導入されたのが、高品質かつ直感的に操作できるテレビ窓口システム「LoopGate」。

従来のWeb会議ツールでは解決できなかった課題を克服し、オンライン診療をスムーズに実現しています。本記事では、長岡市の事例をもとに、LoopGateがどのように地域医療の未来を変えているのかをご紹介します。

導入の背景

医師不足と地域医療の未来を見据えたオンライン診療の検討

山間部にある山古志地域では、38年にわたり地元出身の医師が診療を担ってきましたが、高齢のため2022年に引退。その後新たな医師が就任し、市立山古志診療所での週2回の診療を維持できましたが、将来的に医師の確保が困難になることが予想されるため、安定した医療提供を可能にする新たな仕組みが求められていました。

そこで市が検討したのが、オンライン診療の導入です。その試行として2023年1月から、長岡中央綜合病院の医師と山古志診療所に来院した患者をつなぐ、ビデオ通話での診療を開始しました。しかし、当初使用していた従来のWeb会議ツールでは、操作の煩雑さや音声・映像品質の問題があり、スムーズな診療が困難という課題がありました。

医師不足と地域医療の未来を見据えたオンライン診療の検討
オンライン診療車(長岡市提供)

活用の具体例

LoopGateを活用した3拠点診療の実現

山古志地域のオンライン診療ではさらに、2023年11月、患者の自宅近くまで出向く「オンライン診療車」を導入し、病院・診療所・診療車の3拠点をつなぐオンライン診療を開始しました。これに合わせて、ビデオ通話のツールを従来のWeb会議システムからLoopGateに移行しました。従来使用していたWeb会議システムでは、音声の遅延や映像の乱れ、PC操作の煩雑さが大きな課題でした。

しかし、LoopGateは 「電源を入れてボタンを押すだけ」 で接続でき、看護師の負担を軽減。また、リモコン操作により、医療従事者が診療の流れを妨げることなく機器を扱えるため、スムーズな運用が可能になりました。

オンライン診療の体制図
オンライン診療の体制図

評価しているポイント

1. 予約不要のシンプルな操作性で医療従事者の負担を軽減

これまでの山古志診療所ではアナログな方法が多く残っており、オンライン診療に伴って導入したweb会議システムや電子カルテの操作は、PC操作が不慣れな看護師にとってプレッシャーを感じるものでした。従来のweb会議システムでは複雑な予約設定や多機能すぎるUIが障壁となっていましたが、LoopGateは 予約する必要もなく、「ワンタッチ発信ボタンを押すだけ」 の直感的な操作で、スムーズに利用できます。

これにより、看護師が気持ちにゆとりを持って、診療の準備や患者への対応ができる環境が整いました。

2. 診療の流れを妨げない簡単操作とリモコン操作の利便性

LoopGateではリモコンを使い、画面に映っている人の傍らや後ろから機器を操作できます。PCを使った従来のweb会議システムでは、診療のサポートを行う看護師が画面に近づいてマウスやキーボードを使う必要がありましたが、リモコンなら患者さんや医師の後方、少し離れた位置からでもカメラ切替や音量の調整ができるので、流れを妨げることなくスムーズな診療が可能になりました。

3. 高品質な映像・音声で診療の質を向上

LoopGateの高精細な映像は、医師が患者の表情や症状を詳細に観察するのに役立ちます。また薬剤師によるオンライン服薬指導では、画面に映した薬の包装や錠剤の印字まで読み取れるため、患者との間で情報の伝達ミスを防ぐことができます。従来のシステムでは、映像の乱れや音声の途切れが診療の妨げになることがありましたが、LoopGateの安定した通信品質により、より確実な診療環境を実現できました。

4. 省スペース設計が診療車内で役立つ

LoopGateは11cm四方の小さなセットトップボックスです。とてもコンパクトな設計のため、移動診療車内の限られたスペースを有効に活用できます。以前は電子カルテ用PCとWeb会議システム用PCなど大掛かりな設備が必要でしたが、LoopGate導入後は機材の数が減り、診療に集中しやすい環境が整いました。
特に診療車内はスペースが限られているため、機材のコンパクトさは大きなメリットとなっています。

5. 高いセキュリティ水準:暗号化通信とピアツーピア接続に対応

医療機関では、患者の個人情報や診療データの保護が最優先事項。LoopGateは高度な暗号化通信を採用し、必要に応じてピアツーピア接続も可能なため、セキュリティリスクを最小限に抑えます。この堅牢な設計が、自治体にとって導入の決め手となりました。

オンライン診療車内での診療風景(長岡市提供)
オンライン診療車内での診療風景(長岡市提供)

今後の展望

長岡市には山古志地域を含む11の地域があり、今後は他の地域にもオンライン診療を展開していく方針です。また、現在の山古志地域では看護師が患者の隣について機器操作などのサポートを行っていますが、患者がひとりでオンライン診療を受ける形なども検討していきたいと考えています。

また、国や厚生労働省でも、「どの地域でも必要な医療を受けられる環境を整える」という方針を掲げており、遠隔医療の拡充が求められています。長岡市の事例は、こうした政府の方針に沿った実証例として、多くの自治体・医療機関にとって参考になるでしょう。

さらに、現在のオンライン診療は山間部の通信環境に課題があり、電波の良い場所に停車して診療を行うケースもあるのが現状です。しかし、今後は低軌道衛星通信や通信圧縮技術の進歩により、より安定した遠隔診療が可能になることが期待されています。これらの技術革新が進めば、LoopGateの活用の幅もさらに広がるでしょう。

オンライン診療の可能性

長岡市の取り組みは、遠隔医療の実現に向けた一つのモデルケースとなっています。オンライン診療の導入により、医師不足の解決だけでなく、患者の負担軽減や医療従事者の業務効率化にもつながる可能性があります。 現在、全国各地で遠隔医療のニーズが高まっており、厚生労働省も「どの地域にいても必要な医療を受けられる環境整備」の重要性を強調しています。
LoopGateのような高品質かつシンプルな遠隔診療システムは、地域医療の持続可能性を支える大きな役割を果たすでしょう。

オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針

厚生労働省は、遠隔医療の推進に関して以下のような基本方針を示しています。

「遠隔医療は、医療の質の向上・患者の利便性の向上・離島やへき地などにおける医療の地域差の是正等、地域医療の充実の観点から重要と位置付けています。」

(厚生労働省 遠隔医療に関するホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/index_0024.html

また、オンライン診療の推進に向けた基本方針として、以下のように述べられています。

「オンライン診療その他の遠隔医療の実施形態及びその特徴を整理した上で、導入及び実施上の課題及びその解決に向けて、国、都道府県、市町村を中心とする関係者の望ましい取組みの方向性を提示することで、遠隔医療の導入のための環境の整備を進め、もってオンライン診療その他の遠隔医療の適正かつ幅広い普及に資することを目的とする。」

(厚生労働省 オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針より)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001116016.pdf

これらの方針から、厚生労働省が遠隔医療の環境整備と普及に積極的に取り組んでいることがわかります。
オンライン診療の可能性を探る中で、本事例が参考になれば幸いです。

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