
東京都武蔵村山市
Webサイト: https://www.city.musashimurayama.lg.jp/
本記事の要約
東京都武蔵村山市は、身近な人を亡くした遺族の負担を軽減するため「おくやみコーナー」を開設しました。本庁舎と離れた場所にある「市民総合センター」の専門部署をテレビ窓口システム「LoopGate」で常時接続。書類を映像で共有し、その場で専門職員の確認を受ける体制を構築したことで、庁舎間の移動をなくし、最短ルートでの手続き完了を可能にしました。
武蔵村山市について
庁舎分散と高齢化、そして「免許返納」が招く移動の課題
武蔵村山市は、狭山丘陵を背にした緑豊かな都市で、面積15.32平方キロメートル、人口約7万1千人を有しています。「鉄道駅のない市」である本市では、長年自家用車や路線バスが市民の足を支えてきました。しかし、高齢化率が26.5%(令和2年国勢調査参考)を超え、運転免許証を自主返納する高齢者が増加する中で、「移動手段の確保」は切実な地域課題となっています。特におくやみ窓口においては、行政機能の物理的な配置が障壁となっていました。
- 本庁舎: 市民課(死亡届・戸籍関連)、保険年金課(医療保険関連)など
- 市民総合センター: 高齢福祉課(介護保険関連)、障害福祉課(障害者手帳、手当関連)
この2拠点は離れており、ワンストップサービスの実現には、この物理的な距離を埋めるためのデジタル技術の活用が不可欠な状況にありました。
導入前の課題
庁舎分散が招く「手続きの分断」と「移動の壁」
従来、武蔵村山市におけるおくやみ手続きは、遺族自身がハンドブックを頼りに窓口を判断する「セルフ方式」であり、以下の3つの構造的な課題を抱えていました。
- 庁舎間の「物理的分断」による移動負荷
主要な窓口である「本庁舎」と「市民総合センター」は直線距離で約1.7km離れています。現役世代なら車で数分の距離ですが、免許を返納した高齢の遺族にとっては、バスの乗り継ぎや徒歩移動を強いられる「遠い道のり」となります。体力的・精神的に疲弊している遺族にとって、この移動は非常に大きな負担でした。 - 情報の「非連携」による重複負担
各課のシステムや窓口が独立していたため、遺族は窓口を移動するたびに、氏名や住所などの基本情報を複数枚の申請書へ繰り返し記入する必要がありました。 - 手続きの「長時間化」
本庁舎で手続き」→「バスで移動」→「市民総合センターで手続き」という動線に加え、書類不備が発生した際の手戻りリスクもあり、すべての手続きを完了するまでに半日以上を要することもありました。
【図1】導入前後のフロー比較図

LoopGateが実現した「書かない・動かない」ワンストップ窓口
武蔵村山市は、庁舎が離れていてもその場で手続きが完結する「仮想・隣接窓口」を構築しました。LoopGateの高精細な映像共有により、バックヤード連携を強化し、遺族の負担を極限まで減らす「書かない窓口」を実現しています。
- 職員代行を可能にする「遠隔チェック体制」
従来、遺族自身が行っていた申請書の記入を、おくやみコーナーの職員が代行・支援します。専門知識が必要な判断や複雑な書類確認も、LoopGateの書画カメラ(手元カメラ)で別庁舎の専門職員に映像を共有し、その場で「OK」の判断を仰ぐことができます。このリアルタイムな連携により、遺族は何度も住所や氏名を書く必要がなくなりました。 - 移動ゼロで完了する「3者間合意」
遺族はブースに座っているだけで手続きが進みます。不明点があれば、モニター越しに専門職員、窓口職員、遺族の三者で会話が可能。書類の物理的な持ち運びや庁舎移動をすることなく、専門的な手続きまでワンストップで完了します。
【図2】LoopGate活用シーン(システム構成図)


導入後の効果:移動負担の「完全解消」と窓口業務の「標準化」
LoopGateによる拠点間接続は、住民の負担軽減だけでなく、組織運営においても大きな変革をもたらしました。
- 【住民・遺族】移動時間と心理的負担の最小化
庁舎間移動「ゼロ」を実現: 本庁舎から市民総合センターへのバス移動(往復・待ち時間含む)が不要となり、体力に不安のある高齢者でも安心して手続きを行えるようになりました。
手続き時間の劇的短縮: 以前は半日以上を要していた一連の手続きが、ワンストップで完了。書類記入の代行と合わせ、遺族は混乱の中で窓口を探し回る必要がなくなり、精神的な安らぎにもつながっています。 - 【職員・自治体】業務の正確性と「誰でもできる化」
確認精度の向上: 電話では伝わりづらかった書類の細部を映像で共有できるため、確認ミスや手戻りが激減しました。
業務の属人化解消: 画面越しに専門職員がサポートするため、窓口担当者がすべての専門知識を持っていなくても対応可能です。異動直後の職員や経験の浅い職員でも、ベテラン職員の支援を受けながら自信を持って住民対応ができる体制が整いました。
現場の評価:「もしLoopGateが無くなったら、業務が立ち行かない」
現場の職員からは、「LoopGateはもはや電話と同じか、それ以上に不可欠なインフラ」との声が上がっています。
「もし今、このシステムがなくなったら一番困るのは、やはり『確認の確実性』と『安心感』が失われることです。電話だけの1対1のやり取りでは、言った言わないのトラブルや、書類の認識齟齬が防げません。3者で同時に顔を見て、同じ書類を見ながら話せる環境があるからこそ、私たちは自信を持って遺族に寄り添うことができています」(担当職員談)
よくある質問(FAQ)
武蔵村山市の事例から学ぶ窓口DX
「止まらない安定性」と「誰でも使える即応性」が必須だったためです。
窓口業務において、PCの起動待ちやOS更新、ログインの手間は大きなタイムロスになります。LoopGateは受話器を取る感覚で、電源ボタン一つで即座につながります。ITリテラシーに関わらず、配属初日の職員でも迷わず使える「専用機ならではの使いやすさ」が採用の決め手となりました。
はい、可能です。それが本質的なメリットです。
武蔵村山市の事例では、窓口担当者がすべての専門知識を持っていなくても、LoopGateを通じて別庁舎の専門職員が画面越しにバックアップします。書画カメラで書類を直接確認してもらえるため、属人的なスキルに依存せず、正確な「書かない窓口」支援が可能になっています。
「移動しなくて済んで本当に助かった」という安堵の声が圧倒的です。
特に高齢の遺族からは、バス移動や庁舎巡りの負担がなくなったことへの感謝が多く寄せられています。また、画面越しでも専門職員と顔を合わせて話せるため、「親身に聞いてもらえた」という満足度も高く、対面と変わらない安心感を提供できています。
本事例を支える仕組み・関係者
- 東京都武蔵村山市
軌道交通がなく「移動が不便」という課題に対し、デジタル技術を活用して庁舎間の物理的距離を克服。遺族の移動負担をゼロにするワンストップおくやみコーナーを構築。 - RTCテックソリューションズ(LoopGate)
LGWAN(総合行政ネットワーク)等の閉域網環境下でも利用可能な、高セキュリティ・テレビ窓口システムを提供。通信技術として適応型帯域制御技術(アダプティブストリーミング等)を搭載し、ネットワーク負荷に応じて画質・音質を自動最適化。パケットロスに強く、繊細な文字情報も遅延なく共有できる「止まらない窓口」技術で、自治体DXのラストワンマイルを支える。




