テレビ会議システム・Web会議なら日本製・国産のLoopGate (ループゲイト)
LoopGateを導入いただき、日々の業務や取り組みで活用されているお客様に、その使い道や導入の経緯をインタビュー形式にてお伺いする企画。今回は、 介護ロボットニーズ・シーズ連携協調協議会 岩手県協議会委員長、藤原様にお話しを伺いました。
厚生労働省の『令和2年度介護ロボットの開発・実証・普及のプラットホーム事業』におけるニーズ・シーズ連携協調協議会として、岩手県協議会にてLoopGateを活用した高齢者の孤立化防止と参加の促進の実証実験を実施
この記事の目次
まず、団体が設立された経緯からお話しをいたしますと、
当協議会は、厚生労働省の事業の一環で介護ロボットの普及に関わる事業があり、平成30年・31年に「日本作業療法士協会」が全国に協議会を設置する事業の委託を受けて、私ども岩手県作業療法士会が岩手県で協議会を立ち上げた…、というのが経緯となっています。
ですので、平成30年・31年は日本全国47都道府県の全てに協議会ができて、介護ロボット関係のニーズとシーズのマッチングを行う検討が行われてきました。
昨年度から協議会の建付けが少し変わり、「介護ロボットの開発・実証。普及プラットホーム事業」と名称が変わりました。この事業の中で、LoopGateを使わせていただいた実証実験を行った、という流れになります。
岩手県協議会はどのような団体かと言いますと、
元々スタートが「リハビリテーション専門職である作業療法士会」が核となっていますので、理学療法士や言語聴覚士のリハビリテーション専門職の方にも参画していただいていいます。加えて「介護ロボットの開発」という目的がありますので、介護現場の団体の方にも参加いただき、更に大学研究の中で高齢者の見守り活動に取り組まれている先生にも参画いただいております。
また、「ニーズ側」として高齢者に直接関わる市町村の地域包括支援センターの保健師の方々、「シーズ側」としてロボットを開発する側である大学の理工学部の先生にも参画いただいております。
その他、医師として生体情報(血圧など)のデータ活用で遠隔医療に関わっておられる先生や、実際に事業化を行う上での助言や支援を頂くために岩手県の方々にも参画いただいております。総勢20名の委員で形成された組織です。
ギンガシステムはその中で、LoopGateを提供していただく企業として参加しているという形となります。
現在、日本では高齢化が大きな問題となっており、厚生労働省は地域包括ケアシステムを推進しています。その中で、高齢者の方々同士が集まって、話たり体操をしたり、高齢者の活動と参加を促進する「介護予防事業」を全国の市町村が推し進めています。
しかし、都市部にお住まいの高齢者は集まりやすい環境にありますが、山間部や降雪など気候的に集まることが困難な地域の方もいらっしゃいます。そういった高齢者の方々は外に出ることも難しく孤立化してしまうことが問題となっています。
このような高齢者の孤立化を防ぐためにも、いつでも集まることができて色々な方と活動できるような場を設けられないか?という議題が挙がりました。その中で、テレビ会議システムなどオンラインで集って活動してみよう考えたのが、今回の取り組みの始まりです。
そして、実際にテレビ会議LoopGateを使って、今回の取り組みの実証実験を行いました。
具体的には、委員の研究フィールドで協力していただいていた複数の高齢者グループにお願いし、LoopGateを使ってリモートで集う実証実験を11月・12月に実施したいという事で、実証実験に参加してくださる方を募集しました。
そうしてご了承いただいた方々に週に2~3回集まっていただき、会話や体操レクリエーションをするなど、実際にLoopGateを使って試していただき、高齢者の方々に使用可能な機器かどうかの検証を行ったのです。
実は、一昨年前も同じような実験をパソコンでのWeb会議ツールで試してみたのですが…、
Web会議ツールではパソコン操作が必要で、高齢者の方々が扱うには難しくて自主的にツールを使用して参加することが難しく、使うためにはサポートスタッフが接続のお手伝いに高齢者のお宅に伺う、といったことが必要となりました。
私たちが対象としているのは、パソコン操作に対して経験の少ない高齢者の方々ですので、煩雑な手続きや各家庭にサポートを付けていたら広がりません。
そこで、高齢者の方でも簡単に扱えて互いにつながることができる会議ツールが欲しいと考えていた折、テレビを使ってできるLoopGateを知り、リモコン操作で高齢者の方でも簡単に扱えるということで選定しました。
高齢者の方でも簡単に扱える…という以外は、
画質も音声も良いと思います。PC画面やタブレットと異なりテレビ画面に表示されるため、大画面で大きく映るということが好評でした。希望としては画面の分割を上手く使って、例えば体操の指導などは講師の方が大きく表示できるようにしたいですね。
まず、今回の実証実験の目的としては、高齢者の方々がひとりで全部ができるかを確認することでした。
具体的には、テレビに機材を接続し立ち上げてつなげることができるかを、実証したかったのです。
テレビにつなぐところで言えば、紙のマニュアルを作成してそれを見ながら行っていただくようにお願いをしました。また、マニュアルだけではなくUSBケーブルに色シールを貼ってつなげる所を色で分けて解りやすくしました。
集団での会話や体操、クイズ場番組の穴埋め問題のようなゲームを行いました。そしてもう一つは、高齢者の健康確認ということで、体操している画面とは別画面(別ルーム)に移動していただき保健師さんが「薬は飲んでいますか?」等の生活状況の質問を投げかけて確認しました。
保健士さんがそれぞれの参加者の自宅に伺うこと無くLoopGateを通じて順番に問診や聞き取りができるので良いですね。
まずはひとりで接続して自分で操作ができるか、そして皆でつながれるかという点です。そして、前回のWeb会議ツールで活動したときの効果として得られたものの確認を行う事でした。
操作に関してはグループを複数に分けて行いました。一つは70代が中心で比較的活動性が高いグループでスマホも操作できる方々と、もう一つは80代以上のグループで活動性があまり高くない方々です。
そしてもう一つは、参加者はお一人で市役所の方と体操指導者の方と、LoopGateを使って高齢者を支援する立場側のグループの方々で実証実験を行いました。
操作に関して言えば、70代の方々は初回時少しサポートが必要な方もいらっしゃいましたが、2回目以降は自分で繋がることができました。そして、私たちがいない中でも2回ほど自主的に「集まってやりましょう!」と、ご利用になった報告があります。繋がってしまえば使えるということですね。
実際に、自主的に集まることが難しいWeb会議ツールと違って、LoopGateなら決められた日時以外にも高齢者の方々が自主的に集まれる場ができて、行動変容が画期的なものでした。
効果に関しては、高齢者の方々もコロナ禍で集まれない・活動できない状況で、顔を合わせながら話をするということは、「集まった感じがする」と意見としてありました。
もう一つ面白かったのは、普段のリアルな集まりだと気後れして参加が積極的ではない方が結構いらっしゃって「私なんか行ってもいいのだろうか」「行っても疲れちゃうから帰りたくなっちゃうし」とためらう方も、比較的気軽に使っていただけました。抜けようと思えばいつでも抜けられるわけですし。
皆が集まっている中に新しくお一人入るとなると、なかなか輪の中に入れない、しかし、画面を通しての会話やゲームでは、なかなか入っていけない方でも入っていけるようです。否が応でも話題を振られるようなこともありますので。この点は導入に使えるものだと分かりました。
初めは正直嫌々参加された方で、今まで外に出るタイプではなかった方も、テレビ会議でリモートを通じて参加者同士知り合うことができ、その後色々な集まりに出られるようになって、今回も自分から「ぜひやらせてください」という形で積極的になられたということなので、引きこもりがちな方や一歩踏み出せない方に対してのアプローチとして、テレビ会議システムは使えると感じました。
今回は高齢者が対象でしたが、一度使えるようになれば使ってもらえるということが解りました。また、高齢者だけではなく、例えば引きこもりの方々にも使えるのではと感じました。なかなか話しづらいことも、話ができる場を求めている方はいて、それがきっかけになって次のステップにつながっていく、ということはあると思います。
あとはもう一つとしては、バラバラになっている皆が集う場が作り出せるということです。
人口減少と高齢化が進んでいるところは、先に立つリーダーが居なくなってきています。これは、色々な箇所でも言えることなのですが、例えば岩手県は東日本大震災があって仮設住宅ができましたが、そこには知らない人同士が集まりました。そして、誰が先立ってまとめていくのか…ということがなかなかできません。自治会が立ち上がるにも時間が掛かってしまい、色々なコミュニティを作ることも難しくなってきています。
そこで、リモートで通いの場ができると、ファシリテーターやリーダーの方が入る選択肢が増えます。
そしてそのファシリテーターやリーダーは、地元の方でなくても良いのです。東京の方でも九州の方でもオンラインで岩手の集まりを企画し、参加しても良いと思います。
もちろん、ある地域にいらっしゃる元気な高齢者の方が、他地域の高齢者のファシリテーターになることもできます。また、高齢者だけの話ではなくて、外に出られない障がい者がファシリテーターとなり、活動の場を作り出すこともできます。
このように、新たな活動の場として、ファシリテーターを行える人たちの活動の場にできる、という話が出ていました。壮大な話ですが。
つまり、「モノ(場所)だけつくっても動かないでしょう」と。モノだけじゃなくて、それを動かす方々をどうやって作っていくか?どういったプログラムがオンラインでできるのか?というところで、ファシリテーターとしてオンラインでやるときの留意点や進め方が、研修会や指導で必要になっていくだろう…という話が出ております。
今回のような取り組み・活動は、このような可能性の広がりを秘めていると感じました。
岩手県協議会 藤原様 この度は貴重なお話しを賜りまして、誠にありがとうございました。